最近、職場の若い世代や、成人したお子さんとの会話で、ふとこんな瞬間はありませんか?
良かれと思ってアドバイスしたのに、相手の反応が微妙だった…。
笑い話のつもりで昔の話をしたら、空気が少しだけシーンとなった…。
「そういう考え方、ちょっと古いかも…」と、思われてないかしら…?
たくさんの経験を重ね、人生の深みを増してきた私たち50代。その経験や知識は、何にも代えがたい素晴らしい財産です。でも、ほんの少しだけ、気づかないうちに、今の時代の空気感とズレが生じてしまうことがあるのも、また事実かもしれません。
この記事は、「時代遅れだ」と断罪したり、不安を煽ったりするためのものではありません。むしろ逆で、ほんの少し言動をアップデートするだけで、世代を超えて「さすが!」「話していると楽しい!」と一目置かれる、もっと魅力的な存在になれることをお伝えしたいのです。
ここでは、悪気はないのに“イタいおばさん”や“話の通じない上司”と見られてしまう、50代がついやってしまいがちなNG行動を5つ、具体的な改善策とセットでご紹介します。
読み終える頃には、きっとこう感じているはず
「あ、これやってたかも!」「なるほど、これからはこうすればいいんだ!」と、スッキリした気持ちで、明日からのコミュニケーションに自信が持てるようになります。
時代遅れと思われる前に、アップデートを始めていきましょう!
1. 「私の若い頃は…」で始まる、求められていない自分語り

【NG行動】
職場の後輩が「残業続きで大変です…」とこぼした時、すかさず「私の若い頃はもっと大変だったわよ!毎日終電で、休日出勤も当たり前。それに比べたら…」と、自分の苦労話や武勇伝で“マウント”を取ってしまう。
これは、私たち世代がついやってしまいがちなNG行動の代表格です。本人としては「あなたも頑張って」という激励のつもりでも、相手にとっては「自慢話を聞かされた」「今の苦しみを否定された」としか聞こえません。
時代背景も価値観も違うため、昔の常識は今の非常識、ということも多々あります。「昔は良かった」というニュアンスは、間接的に「今はダメだ」と相手のいる時代を否定しているようにも受け取られかねません。
【OK行動】共感を示し、未来に役立つ「知恵」を添える
- まずは共感から入る 「そうなんだ、毎日大変だね」「お疲れ様。無理しないでね」と、まずは相手の状況を肯定し、労いの言葉をかけましょう。相手が求めているのは、武勇伝ではなく、たった一言の「共感」であることがほとんどです。
- 普遍的な「教訓」に変換して話す もし自分の経験を話すなら、「私も若い頃、仕事の進め方で悩んだ時期があったけど、結局、一人で抱え込まずに周りに相談するのが一番の近道だったな。何か手伝えることがあったら言ってね」というように、いつの時代でも通用する普遍的な教訓や、相手へのサポートの申し出に変換しましょう。
- 相手から聞かれたら、簡潔に話す 「〇〇さんの若い頃はどうでしたか?」と相手から質問された時に初めて、「昔はこんな感じだったけど、今は時代が違うから参考になるかわからないけどね」と前置きし、手短に話すのがスマートです。
あなたの豊富な経験は、ひけらかすものではなく、相手が本当に必要とした時にそっと差し出す「知恵の引き出し」として大切にしまっておきましょう。
2. デジタルへの過度な苦手アピールと「教えて丸投げ」

【NG行動】
スマホの操作や新しいアプリについて、「私、こういうの全然ダメだから、よくわからないのよ~」と最初から学ぶ姿勢を見せず、若い人に「悪いけど、これやっといてくれない?」と丸投げしてしまう。
デジタルが苦手なこと自体は、仕方がありません。問題なのは、「学ぶ意欲の欠如」と「他者への依存」が透けて見えてしまうことです。
「教えて」と頼むのは良いのですが、「代わりにやって」というスタンスは、相手の時間と善意を奪う行為です。これが続くと、「この人とは新しい情報共有ができない」「話が通じない」と、コミュニケーションの壁を作られてしまう原因になります。
【OK行動】学ぶ姿勢を見せ、「一緒に解決する」スタンス
- 「ここまでやったけど、ここからが分からない」と具体的に質問する まずは自分でできるところまでやってみる姿勢が大切です。「〇〇をしようと思って、ここまで進めたんだけど、このエラーメッセージはどういう意味かな?」というように、具体的に質問すれば、相手も教えやすくなります。
- 教えてもらったことはメモを取り、次は自分でやろうとする 教えてもらう際は、「ありがとう、忘れないようにメモしておくね!」と感謝と意欲を伝えましょう。同じことを何度も聞かずに済むように努力する姿は、相手に好印象を与えます。
- 何か一つでも得意なデジタルツールを持つ 例えば「LINEの使い方は完璧!」「〇〇(特定のアプリ)なら任せて!」というように、何か一つでも自信を持って使えるものがあると、苦手意識も薄れ、周りからの見え方も変わります。PayPayなどのキャッシュレス決済を使ってみるのも良い第一歩です。
「わからない」を連発する人から、「新しいことも学ぼうとする、好奇心旺盛な人」へ。その小さな変化が、あなたの印象を大きく変えます。
3. 「男だから」「女だから」「若いから」という無意識の決めつけ

【NG行動】
「やっぱり男の子は力仕事が得意よね」「こういう細かい作業は、女性の方が向いてるわ」「最近の若い子は、みんな根性がないから…」など、性別や世代で一括りにして決めつけるような発言をしてしまう。
多様性が重視される現代において、こうしたステレオタイプな発言は、最も「時代遅れ」と受け取られやすい地雷の一つです。悪気なく言ったとしても、言われた相手は「個人として見てもらえていない」「偏見を持たれている」と深く傷つくことがあります。
特にジェンダーに関する固定観念は、ハラスメントと受け取られるリスクも高く、非常に注意が必要です。
【OK行動】「個人」として向き合い、多様な価値観を尊重する
- 主語を「個人」にする 「男だから」ではなく「〇〇君は力がありそうだね」、「女性だから」ではなく「〇〇さんは手先が器用だね」と、必ずその人個人を見て話しましょう。
- 断定を避け、疑問形や提案形を使う 「若い人は〇〇だ」と決めつけるのではなく、「私はこう思うんだけど、〇〇さんはどう思う?」と、相手の意見を聞く姿勢を見せましょう。自分の価値観が全てではない、という謙虚さが大切です。
- 自分の「当たり前」を疑う 「結婚して子供を持つのが当たり前」「男性が稼ぎ、女性が家庭を守るのが当たり前」といった、自分が生きてきた時代の「当たり前」が、もはや当たり前ではないことを認識しましょう。ニュースや本などで、現代の多様な生き方や価値観に触れておくことも大切です。
凝り固まった固定観念という色眼鏡を外して、目の前の相手を「一人のユニークな個人」として尊重する。それが、世代を超えた信頼関係の第一歩です。
4. 求められていない、善意の押し付けアドバイス

【NG行動】
相手から相談されたわけでもないのに、相手の状況を見て「あなたのためを思って言うんだけど、もっとこうした方がいいわよ」「私の言う通りにすれば、絶対うまくいくから」と、一方的にアドバイスをしてしまう。
人生経験が豊富な私たちにとって、若い人の悩みは「もっとこうすれば近道なのに」と、もどかしく見えることがあるかもしれません。しかし、求められていないアドバイスは、単なる「お節介」であり、「価値観の押し付け」です。
特に「あなたのためを思って」という言葉は、相手の反論を封じ込める魔法の言葉のようでいて、実は相手を支配しようとするニュアンスを含んでいます。人は、自分で悩み、自分で考えて出した答えでしか、本当に納得し、成長することはできないのです。
【OK行動】まずは聞き役に徹し、選択肢を提示する
- 「きく」の達人になる(聞く・聴く・訊く) アドバイスしたくなる気持ちをぐっとこらえ、まずは相手の話を最後まで、遮らずに「聴く」ことに徹しましょう。相槌を打ちながら共感を示し、わからない点があれば「訊く」。話を聞いてもらうだけで、相手は気持ちが整理され、自分で答えを見つけられることも多いのです。
- アドバイスは「提案」として渡す もし意見を求められたら、「絶対こうした方がいい」ではなく、「あくまで私の考えだけど、こういう方法もあるかもしれないね」「もし私だったら、〇〇してみるかな」と、複数の選択肢の一つとして、謙虚に提示しましょう。最終的に決めるのは、相手自身です。
- 自分の失敗談を話す 成功談よりも、「私も昔、同じようなことで失敗しちゃってね…」という失敗談の方が、相手は心を開きやすく、参考にしやすいことがあります。上から目線ではなく、同じ目線に立つことができます。
口を出す前に、まず耳を傾ける。この順番を徹底するだけで、あなたは「信頼できる相談相手」として、多くの人から慕われる存在になるでしょう。
5. ファッション・メイクが「バブル期」や「20年前」で止まっている

【NG行動】
肩パッドがしっかり入ったジャケット、細すぎるアーチ眉、青みがかったピンクの口紅…。ファッションやメイクが、自分が最も輝いていた時代のまま、アップデートされていない。
「人は見かけによらない」とは言いますが、外見は、あなたが思っている以上に強力なメッセージを発しています。明らかに時代遅れのスタイルは、「この人は、内面もアップデートされていないのかもしれない」「新しいものを受け入れない、頭の固い人なのかな?」という印象を与えかねません。
若作りをする必要は全くありませんが、「今の自分」に似合う、品の良い清潔感のあるスタイルに更新していくことは、大人のマナーとも言えます。
【OK行動】「今の自分」を最高に見せる、品のあるアップデート
- 「定番アイテム」こそ更新する トレンドを追いかける必要はありません。白シャツ、ジャケット、デニム、トレンチコートといった定番アイテムこそ、今の時代のシルエット(少しゆったりめなど)のものに買い替えましょう。それだけで、ぐっと洗練された印象になります。
- 「清潔感」をキーワードにする 髪のツヤ、整えられた爪、シワのない服、綺麗な靴。派手さよりも、細部にまで気を配った清潔感が、大人の品格を際立たせます。
- 眉と肌を見直す メイクで最も時代が出るのが「眉」。細すぎる眉は、今のナチュラルな太眉に見直すだけで、一気に旬の顔になります。また、ファンデーションの厚塗りをやめ、ツヤ感のあるベースメイクを心がけることも重要です。
- プロの手を借りる 自分では何が似合うかわからない場合、ショッピング同行サービスや、デパートのコスメカウンターでメイクレッスンを受けるのも賢い方法です。客観的な視点を取り入れることで、新しい自分を発見できます。
目指すのは「若作り」ではなく「素敵な年の重ね方」。今の自分を肯定し、最高に見せるためのアップデートを楽しみましょう。
まとめ 恐れるのは「老い」ではなく「停滞」。変化を楽しむ姿勢があなたを輝かせる
今回は、50代が気をつけたい5つのNG行動をご紹介しました。
- 「私の若い頃は…」で始まる、求められていない自分語り
- デジタルへの過度な苦手アピールと「教えて丸投げ」
- 「男だから」「女だから」という無意識の決めつけ
- 求められていない、善意の押し付けアドバイス
- ファッション・メイクが「あの頃」で止まっている
もし、「ドキッ、これやってるかも…」と感じたとしても、全く問題ありません。大切なのは、それに気づき、「ちょっと変えてみようかな」と一歩踏み出すことです。
本当に恐れるべきは、年齢を重ねること(=老い)ではありません。新しい価値観や変化を受け入れることをやめ、学びを止めてしまうこと(=停滞)です。
あなたの持つ豊かな経験という土台に、ほんの少し「今」というエッセンスを加えるだけで、世代を超えて愛され、尊敬される、本当に素敵な人になれます。変化を恐れず、むしろ楽しむくらいの気持ちで、軽やかに自分をアップデートしていきましょう。








